なにもできない

なにもできないから何か書く

うつの対処は波乗り

突然になるが、現在、私はうつ病である。

昨年の中頃から調子が徐々におかしくなり始め、今年の3月に、とあるきっかけで明確に体調を崩してしまった。今は療養中だ。症状としては、頭痛、耳鳴り、倦怠感、気分の落ち込み、意欲の低下、疲れやすい... などがある。精神科にかかり、薬のおかげもあり、今は割と落ち着いていて体調も悪くない。体調を崩し始めてから今に至るまで、自分の調子を確かめていく中で、少し感じたことがあった。それについて、書いておこうと思う。

 

 

 

私がうつになってみて感じたのが、うつには波があり、どうしようもなくしんどい時もあれば、比較的体も楽で動ける時もあるということだ。それまでは、うつに対しての認識は、気分が落ち込み元気がなくなり何も楽しめなくなる、というものだった。もちろんそういう状態にもなったが、割と元気な状態のときもあり、重要なのが、この波のせいで、余計に問題を起こしたりもするのである。「元気になるならそれでいいじゃないか」と思うところだが、実際は、元気なようであっても、うつとしての不安定な精神は裏に隠れているのだ。そして、自分で「今日は調子がいい。早速、やりたかったこと、やるべきことをしよう。」といろいろなことをやろうとしてしまうと、何かの拍子に急に体調を崩し、疲れやすいというのもあり、しばらく寝込むという結果になる。

 

また、うつといった精神の病につきものの「見た目でわからない」ために周囲の理解を得られない問題に加え、元気そうに見えるときがあることで、「甘えている。怠けている。本当は動けるんじゃないか。」などと、余計に理解をされなくなってしまうのだ。実際に言葉にされなくても、周囲の人間の戸惑っている様子はなんとなくわかるものだ。しかし、うつの波に最も戸惑っているのはうつに苦しむ本人だったりする。不調のときは、自分に価値がなく、お先真っ暗で、何か悪いことをしているような気持ちに襲われ、調子のいいときには、不調の自分を振り返り、その落差に、自分が信じられないような不安を覚えるのである。

 

 

 

 この「うつの波」は、自分だけではなく、うつに苦しむほかの人の声をネット上でも見るので、よくあることのようだ。そして、うつ自体、簡単に解決できるものではなく長く付き合っていくしかないものなので、その波にどのような対処をしていったらいいのかを考える必要がある。

 

 

まず、調子のいい時。先ほども書いたが、この時は無理をしがちなので、普段からの行動と大きく離れたことをしないように心がけること。特に「今のうちに」との気持ちから短時間に複数のことをこなそうとするのは非常に危険である。やることとしては「1日に1つ」を原則として行動を決めた方がよい。

 

 

そして、不調のとき。うつで気持ちが沈みこむときというのは、基本的に理由がない。何か嫌なことがあり、そのことにひどく悩まされるというよりは、具体的な出来事でなく、漠然とした不安、罪悪感が襲ってくることの方が多い。理由があれば、その問題の対処によってある程度、楽になることもあり得るが、理由がなく、嫌な思考、感情に飲まれる時というのは、対処のしようがないのである。できることとしては、ほかの何か、ちがう事に意識を向け、嫌な思考を断ち切ることであるが、行動を起こす気力もない中では、なかなか自分をコントロールするのも難しいものである。そのため、対処としてできることはあまりないと言うほかない。あるとすれば、きちんと精神科、心療内科にかかり、医師の診断の元、抗うつ薬を処方してもらい服用することである。うつの怖いところは自分でもコントロールできないことであるため、素直に医療にたより、少しでも症状を和らげたら、あとは寝て過ごし、動けそうなときは散歩でもするしかないのである。

 

 

 

うつの対処をまとめてみたが、つまるところ、力づくで何とかしようとしないというのが重要である。我々うつ人間は、海の上に漂っている存在だと考えてほしい。海面が穏やかな時は、さざ波に揺られるまま漂い、大きな波(うつの波)がやってきたら、波の力に逆らわず、極力影響を受けない体勢で待ち構えて、転覆しないように乗りこなすのである。波に逆らい、その場に無理にとどまろうとすることも、波から逃れようとすることも不可能と考えるべきである。もちろん、波のやってこない状態になれれば理想であるが、そうなるまでは時間もかかるようなので、上手に付き合っていくしかない。だが、波乗りにも慣れてくれば、それほど消耗せずに、乗りこなせるようになるのではないかと私は考えている。

 

 

とにかく大切なのは、焦らないこと、専門家に助けを求めること、この2点だと思う。私自身、まだうつに悩まされており、先日も抗うつ薬を増量したばかりだ。この先もどうなるかはわからないが、長期戦となることは覚悟しており、これからもうつに対処しつつ、うつになった原因の追究と、今後のよい生き方を探ることを続けていこうと思っている。